合唱の伴奏(13)

「おばあちゃんはのう、自分が人からやってもらいたくないことは人にしてはいけん。B子にしたって同じ事じゃろう。そんでものう、B子はその人としての全うな考えはあっても、その気持ちを働かせる事が出来んくらい昭子のことが悔しくなって、その腹いせに自分の影響力が解っていて、その力を使って昭子を困らせてやろう、そうしたんと違うんかのう。思うてみりゃあ、こんなことをせにゃならんB子も可哀そうと言えば可哀そうなもんじゃのう。」
「なんでおばあちゃん、意地悪するB子が可哀そうなん?おかしい。」
「いや昭子、それはのう、本来なら人のええ事は一緒になって喜んでやれる。それがええことじゃあないんかのう。おばあちゃんはこの度、昭子が選ばれ弾けるようになったことは自分の事の様に嬉しかった。本来ならB子も潔く昭子を認め、昭子がさらに練習に励め、学習発表会でより良い演奏が出来る事を応援するのが立派な人としての在り方というもんじゃないんかのう。でものう昭子、人というものには感情というものがあって、理屈ではわかっていてもなかなかそのええ事をええ事として出来ん。まだ昭子にはそんな人の心の働きというものは分からんかもしれん。けど考えてもみい、人が喜ぶことを一緒になって喜んであげられる。心温まる事じゃないんかのう。それがあるべき人の姿というもんじゃ。でものう、なかなかそうはならん。それが人の世の難しさというもんじゃ。」
B子による昭子へのイジメ、B子の影響力が大きかっただけにクラス全体の人間関係をいびつにしてしまうところがあった。

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